人間安全学

 

人間安全学-(1)
不安全行為とその背景要因

担当 作田博

  プラントを安全に、安定して運転管理していくためには、「設備」とそれを扱う「人間」の両者の信頼性を確保する必要がある。しかし「設備」は故 障し、「人間」はヒューマンエラーを起こす。そのためプラントシステムは、設備の故障やヒューマンエラーをあらかじめ想定し、設計、運用されており、大き な事故につながる可能性を低減させる様々な仕組みが作り込まれている。

  ここでは「人間」に関することを取り上げる。人間の不安全行為には、「行為のエラー」「記憶のエラー」「判断のエラー」の狭義のヒューマンエ ラーと、「バイオレーション」や「サボタージュ」のような故意の行為に大きく分類される。ヒューマンエラーに対しては、エラー事象の連鎖をできる限り上流 側で断ち切ることが肝要であり、そのためには根本原因を究明するための分析が必要である。一方、故意の行為に対しては、安全意識や倫理意識の高揚に取り組 んでいく必要がある。

  まず、錯視絵などを通して実体と認識との差異、および個人による認識の差異を体感してもらう。そして、これらの認識の違いがプラントのような現 場では、ヒューマンエラーにつながり事故の潜在的要因になりうること、そしてヒューマンエラーは、人間が有している本質的な特性によるもので避けることが できないことを理解する。

  次に、原子力分野や航空分野などで起こった事故を例題に、事故の原因や再発防止対策についてできる限り具体的に言及し、潜在的リスクを顕在化さ せないための防護層の考え方をスイスチーズモデル(リーズン博士)などを使って概説する。また、防護層の一つに要員の教育訓練があげられるが、教育訓練施 設の見学も可能な範囲で計画する。

  さらに安全文化醸成のための取り組みやその定着状況を定量的に評価する手法の紹介、および技術者倫理の意識高揚方策としてとられているケーススタディを体験してもらう。

 

 

人間安全学-(2)
ヒューマンエラーと人間の特性

担当 松井裕子

  人間の活動するあらゆる場面において、人間行動の失敗(ヒューマンエラー)はさまざまな影響を及ぼす。ハンカチを忘れる程度なら大きな影響はな いが、自動車の運転で赤信号を見落とせば人命にかかわる事故になりえる。さらに大きな発電所で触ってはいけない機械に触れば、当事者も怪我など被害を受け るし、大規模な停電が起こって多くの人の生活に支障が生じるなど、その影響は甚大になるかもしれない。しかも、そのきっかけは見落としや確認不足のよう に、傍から見れば「なぜ防げなかったの?」と思うようなことが多い。

  このようなヒューマンエラーは、人間が本来持っている特性の現れであり、「気をつけろ!」という精神論で防げるものではない。ヒューマンエラーに適切に対処するためには、人間のものの感じ方や行動の仕方についてよく知らなければならない。

  ここでは、さまざまなヒューマンエラーの背後にある人間のものの感じ方や考え方、行動の仕方について理解することを目指す。

  まず、人間安全学(1)で学んだいくつかのタイプのエラーについて、簡単なクイズやエラー体験なども交えながら、その原因とされるスキーマ(手 順や知識のかたまり)や注意といった人間の特性について説明する。また、アイカメラを用いた簡単な実習を行う。次に、ある発電所のトラブルを題材として、 一つの単純に見えるトラブルに個人や集団としての人間の特性がどのように関わりあっているかを理解する。

 
 

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