産業安全学

 

産業安全学-(1)
職場の安全確保のために

担当 大関親

  わが国の今世紀のキーワードの一つに安全安心の社会があげられているが、列車の転覆、台風等の集中豪雨による土砂崩壊、飲酒運転のよる交通事故さらには家庭内の悲惨な事件などが絶えまなく発生している。

  職場における労働災害は、戦後の経済復興、経済の高度成長と比例するように増加を続けていたが、生産の自動化・高度化、企業労使の努力、労働安 全衛生法の制改定・労働災害防止5か年計画の推進など関係者の長年の努力があり、死亡災害についてみると今日では最悪期の五分の一程度まで減少してきてい る。

  しかし、一時に3人以上の死傷者を伴ういわゆる重大災害は、交通災害を中心に近年増加の経過にあるほか、工場の爆発火災、原子炉燃料工場の臨界 事故や原発における災害など近隣住民をも巻き込んだ社会的に注目され、また、企業経営に大きな影響を及ぼす災害が少なからず発生している。

  職場には機械設備などの欠陥・整備不良などの不安全状態と人の不安全行動が少なからずあり、そこに人が介在すると災害になるが、職場で被災する事例が年々減少してきている中では労使の危険感が希薄になりつつある。

  一方、幸いにして災害には至らなかったが、作業中にヒヤリとした、ハッとした経験は多くの人が持っており、これらの潜在要因をなくし災害発生の 確率を減少させるためには、あらかじめ要因を摘出するとともに、対策を実施することが必要であるというリスクアセスメントの考え方が国際的な潮流となって いる。

  職場の安全確保に関する規制として、わが国では労働安全衛生法及び関連規則があるが、このリスクアセスメントの実施及びそれを基点とした自主的 な安全衛生活動すなわち労働安全衛生マネジメントシステムの構築運用がこの法律の中に取り込まれたことは、これからの企業における安全管理の方向を示した ものである。

  また、文部科学省の教育指導では、幼稚園からそれぞれの段階で安全と健康についての教育を実施することを定めているが、幼い頃から安全健康に対 する感性を高め、基本動作として習慣化する教育を継続することがこれからの職場あるいは社会生活における安全・安心の実現のために必要なことである。

 

 

産業安全学-(2)
産業現場における労災事故防止のための安全学

担当 小林眞次

  いま、人命の重大性が特に強く問われています。

  つい最近、北海道での小学校6年生の女児の自殺、及び、福岡県での中2の男子生徒の自殺について大きく報道され大問題となりました。その理由 は、担任教諭の不適切な言動が原因となった等によることにもありましたが、その根本には「人命尊重理念の一層の高まり」があります。

  ところで、産業界での労働の現場に目を向けると、昨年1年間に労災事故で1,514人が死亡し、約55万人が負傷しています。

  また、我が国の労災事故について国際比較をしてみると、欧米諸国は発生比率が一般に低く、最も低いイギリスでの2001年度の労災死亡者数は 204人で、同年の我が国は1,268人でしたから約6倍という多さ(イギリスの人口は日本の約半分ですから、人口比では約3倍)であり、残念ながら労災 多発国と言われても仕方のない実態にあります。

  その理由は、イギリスは労災事故を科学的に防止するための「労働安全衛生マネジメントシステム」という手法を用いて労災防止を図っているためであり、今後、我が国でもその導入を図ることが急務となっております。

  当講座では、これら「科学的に進める安全学」を教えたいと考えています。労災事故発生は、それぞれの企業の現場において多くの危険な機械や設備 が存在することが原因で、それらによって作業者が死傷しているのが実状です。そこでこれらの危険性や有害性を事前に調査し、安全なレベルまで低減等するた めの「リスクマネジメント」を実施することが重要になります。  

  その手法は、3つの項目についてリスク(危険性)を判定し、リスクの高さを3~4段階にランクして一定以上のものについては容認できない危険性が存在するとして、改善措置を行うことです。

  具体的には、① けがの程度を「死亡又は重傷」、「軽傷」、「微傷」に、② けがの可能性を「確実である」、「可能性がある」、「ほとんどな い」に、③ 危険に近づく頻度を「頻繁」、「時々」、「滅多にない」にランクし、この3項目を加味して「そのままでは許容できない」、「重大な問題があ る」、「多少問題がある」、「許容できる」のいずれかを判定し、「許容できる」以外についてはリスクの高いものから改善します。

  本講座は産業現場における多くの実践的事例を基にリスク判定の手法を学ぶことに主眼を置きます。

 
 

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